会社の飲み会帰り。
帰路の途中、道端で酔いつぶれているお姉さんを見つけたボクは、通り過ぎようとして足を止める。
近づくと、かすかに聞こえる寝息。揺れる視線の先で、彼女がゆっくり顔を上げる。
放っておけず、自宅まで送り届けることに。肩を貸しながら歩く距離の近さに、どこか落ち着かない空気が流れる。
部屋に入り、ベッドへ寝かせる。すぐそばで見る無防備な寝顔。静かに帰ろうとしたその瞬間、終電がもうないことに気づく。
困って立ち尽くすボクへ向けられる視線。少し眠たげな表情のまま、お姉さんがやわらかく微笑む。
「……家に泊まっていってもいいですよ」
近い距離で交わる言葉。同じ空間、逃げ場のない静かな夜。
偶然の出会いから始まる、二人きりの時間。視線が合うたび、距離を意識するたびに、空気が少しずつ変わっていく――。
※この作品はバイノーラル録音されておりますが、視点移動により音声が連動するものではありません。
※この商品は専用プレイヤーでの視聴に最適化されています。